第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
彼の努力を否定するわけではないが、今回ばかりは努力の方向が間違っていたと言わざるを得ない。
そもそも、アズールとユウはまだ付き合ってもいないのだけど。
「ふむ……、ヒカルさんの言うことにも一理ありますね。」
「でしょ? だから、この手帳は封印して、付き合ってから一緒に学んでいこうね。」
「それはダメです。」
途中までは理解してくれたと思ったのに、すぐさま否定されてしまった。
「え、なんで?」
「格好悪いでしょう? 余裕がない顔をユウさんに曝したくありません。こういうことは、スマートにリードしたいんです。」
「そんな、余裕がないとか今さら……。」
「なにか言いました?」
「いいえ、なにも。」
泣きじゃくりながらオーバーブロットした男がなにを言う、と思わなくもなかったが、ここで拗ねられても面倒なので黙る。
「そうは言ってもな、こればっかりは経験してみないとどうにも……。」
「経験……、経験ですか。ああ、そうだ、いいことを思いつきました!」
なに?と聞こうとして、ぐっと言葉を飲み込んだ。
アズールが、やけに期待を込めた眼差しで見てくるからだ。
キラキラした眼差しが怖い。
半歩引いたヒカルに詰め寄ったアズールは、ヒカルの手を取り、にっこりと笑った。
「ヒカルさん、あなたは僕の相談役ですよね?」
「え、まあ。」
「つまりあなたは、僕の協力者だ。」
「まあ、ね?」
「ならば、僕のために協力してくださいますね?」
なにを、と言わないところが凄まじく恐ろしい。
努力の天才がなにを考えているのかわからなかったし、わかりたくもなかった。
が、知らないままでは終われない。
「要は実施で学べばいいんですから。さあ、僕のために脱いでください。」
「………馬鹿じゃないの?」
心底そう思って手を引き抜こうとするけれど、アズールの手は固く握られたまま、タコの吸盤の如く離れなかった。