第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
夜のアレコレを纏めた手帳を、アズールは簡単に見せてくれた。
正直、かなり恥ずかしい内容だと思うのだが、貸してくれたアズールはむしろ自信満々で、褒めてくれと言いたげな顔をしている。
「どうです? よくできているでしょう?」
「あ、うーん……。よく纏まってはいる、けど……。」
アズールの努力は、本物だ。
過去100年のテスト問題から対策ノートを生み出すように、様々な夜の秘技が書き綴られてはいるが。
「でもなぁ、これは……、うーん……。」
「なんです、歯切れが悪いですね。言いたいことがあるなら、はっきり言ってください。」
「……泣かない?」
「泣きませんよ、子供じゃあるまいし!」
いや、さっきまで泣いていたのはどこのどいつだ。
「じゃあ、はっきり言うけど……。これはあまり、役に立たない……かも。」
「はあ? なにを言うのかと思えば。そんなはずないでしょう、あらゆる文献から引っ張り出した秘技ですよ?」
「そうなんだけど。なんといか……こう、コーラとオレンジジュースと牛乳とメロンソーダを混ぜた感じ。」
単品としてなら美味しく飲めるけれど、全部を混ぜたら地獄の飲み物の出来上がり。
そんな気持ち悪さが書き綴られていた。
「気持ちいいと思う場所だって人によるし、あんまりマニュアルばっかりに頼りすぎると失敗しちゃいそうで。ほら、飛行術だって知識だけじゃどうにもならないでしょ?」
座学、魔法において完璧な成績を修めるアズールにも、苦手な分野がある。
肉体強化と飛行術。
運動ができないわけではないのだが、多くの肉体派生徒と比べたら能力的に劣り、飛行術については目も当てられない。
ジェイド曰く、「魚に空を飛べと?」とのこと。
箒の跨り方や飛行中の姿勢、あらゆる知識を身につけていても、実施で上手くできるとは限らない。