第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
「どうですか? 試作品57号、いい出来でしょう?」
「うーん、まあ、食べ物としてはアリだけど、納豆としてはナシだなぁ。ねばねばが全然足りないし、豆も硬いよ。蒸し時間と発酵時間をもうちょっと調整しないとね。」
納豆を手作りしたことはヒカルもないので、あまり良いアドバイスはできない。
それでもアズールは「なるほど……」と真剣に頷いた。
「最近ね、ユウから聞くアズールくんの話、けっこういい手応えの話ばっかだよ。」
ヒカルが体調を崩して以来、ユウのアズールに対する好感度はかなり上がった。
保健室までヒカルを運び、皆勤賞を棒に振ってまで看病してくれたんだとヒカルが話して聞かせたからだ。
「そうでしょう、そうでしょう。ヒカルさんのアドバイスどおり、僕も頑張っていますからね!」
ヒカルがアズールにしたアドバイスは、大きく分けて二つ。
ひとつは、話を聞いてあげること。
そしてもうひとつは、困っていたら助けてあげること。
特にフロイドのちょっかいから守ってあげるのは効果的で、ユウにはヒーローに見えるだろう。
おかげでフロイドの標的がヒカルに移ることもしょっちゅうあるが、想定内の被害だ。
「僕にできないことはありません。次に試食をお願いする時には、完成した納豆をお持ちしますよ。」
「頑張れ、プレゼントしたらユウも喜ぶよ!」
誰かが自分のために努力してくれるのは、単純に嬉しい。
例えそこに、下心が見えていようとも。
「ふふふ、この薬ももうすぐ出番がありそうですね……。」
ご機嫌なアズールが手にした、二つの瓶。
中にはピンクと青の液体がそれぞれ入っている。
「綺麗な色だね。それ、なんの薬?」
何とはなしに尋ねてみたら、返ってきた回答に仰天した。
「よくぞ聞いてくれました。これは僕が錬成した、性転換薬と媚薬です!」
……なんだって?