第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
目を覚ましたら、ヒカルは保健室のベッドで横になっていた。
少し眠ったせいか胃痛はマシになっていて、状況を確認しようと半身を起こす。
「……気がつきましたか。」
声を掛けられるまで、傍で誰かが見守っていることに気がつかなかった。
読んでいた本を閉じ、ヒカルの顔をじっと見つめているのは、最後に声を聞いたはずのアズール。
「アズールくん……。あれ、授業は?」
「病人を置いて出られるわけないでしょう。あなたのおかげで、僕の皆勤賞への道が途絶えました。」
「え……、ごめん。養護教諭の先生、いなかった?」
「……。」
なぜか黙ったアズールは、なにかを堪えるように息を吐き、眉間を揉んで皺を解す。
「……違うでしょう! なぜ言わないんです、僕のせいで体調を崩した、と!」
「え……。」
もしヒカルが風邪を引いたのなら、アズールには関係ない。
でも、体調不良の原因が胃痛なら、誰に原因があるのかは明白である。
(あちゃぁ……、なんで胃が痛いって知ってんだろ。)
「ユウさんに聞きました。」
まるでヒカルの心が読めているように、的を得た回答をくれる。
どうやら、ヒカルが保健室に運ばれたと聞いたユウが見舞いに来たらしい。
「……大丈夫だよ、ユウにはなにも言ってないし。」
昨日の実験を知らないユウは、ヒカルの胃痛がどこからきているのかを知らず、アズールに悪い印象を抱くこともない。
だから安心しろ、と言ったつもりなのだが、アズールの表情は浮かない。
「……そういうことじゃ、ないです。」
ならばどういう意味なのだろうと首を傾げてみても、それ以上アズールが心の内を語ることはなかった。