第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ユウとの会話は、あまり続かない。
アズールが緊張しているのも原因のひとつだが、ユウの口数が少ないのが大きな理由。
なにやら今日のユウは元気がないように思える。
こういう時に親身になれば距離がいっそう縮まるのでは、と考えたアズールは、早速ユウに尋ねてみた。
「ユウさん、今日は元気がありませんね。なにか、お困りごとでも?」
「ああ、いえ、困っているのは自分じゃなくてヒカルなんですけど……。」
「ヒカルさん?」
思い出すと急に心配になるのか、ユウはロールキャベツをフォークでしきりにつついた。
「ヒカル、今朝から具合が悪いみたいで。ちゃんと保健室行ったかな……。」
「具合が悪い……?」
初耳だ。
とはいえヒカルはスマホを持っていないので、アズールには伝えようもなかったけれど。
「食べ終わったら様子を見に行こうと思ってるんですけど……。」
「ユウ、今日は日直だろう? よければ僕が代わりにヒカルの様子を見に行ってやろうか。」
タイミングが悪いことに、ユウは日直らしい。
月に何度か回ってくる日直の仕事は、手を抜くと教師から叱責を受ける場合もある。
状況を把握したアズールは、デュースの優しさを押し退けてずいっと身を乗り出す。
「でしたら僕が。僕がヒカルさんの様子を見に行ってさしあげますよ。」
「え、でも、アズール先輩は忙しいですよね?」
「いえいえ。いつもお世話になっているヒカルさんのピンチとあっては、駆けつけないわけにいきません。僕ならば、症状に合わせた薬を用意することも可能ですし!」
ふと思った。
ヒカルの体調不良とは、アズールがユウにいいところを見せるきっかけを作るための嘘なのではないか、と。
「本当にいいんですか?」
「もちろんですよ!」
「……アズール先輩、ありがとうございます!」
言いきったアズールにユウが向けた眼差しは、昨日よりもずっと親しみがこもっていた。