第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
アズールのプライドは高い。
ゆえに、昨日ヒカルに馬鹿にされたことが許せず、見返してやろうとひとりで大食堂へ赴いた。
けれども、肝心の見返す相手がいなかった。
(せっかくこの僕がアドバイスに従ったのに、役に立たない相談役だ……。)
とはいえ、ヒカルには感謝をしている。
昨日はわざとアズールの邪魔をして楽しむ双子を引き離し、ひとりで相手をしてくれた。
ジェイドはともかく、気まぐれなフロイドの相手は骨が折れただろう。
プレゼントの件だって、最後まで“納豆”の試作に付き合ってくれた。
(……って、なんで僕はヒカルさんのことばかりを考えているんですかね。)
ヒカルのことより、今はユウだ。
大食堂で朝食をとるのも今日で三日目。
今朝はアズールだけという理由もあって、それほど視線も集まらなかった。
「おはようございます、ユウさん。」
「あ、アズール先輩。おはようございます。今日はおひとりですか?」
「ええ、ジェイドとフロイドは寮で食事をとりたいようで。」
嘘である。
本当はいつもより早起きをして、彼らに気づかれる前に寮を出てきた。
「ひとりでとる食事は味気ないものです。今日もご一緒しても?」
「はい、どうぞ。」
数日の間に警戒が和らいだユウとは異なり、期末テストの一件で重労働を強いられたエースたちは嫌そうな顔をした。
しかし、そこはアズールで、他人の目などまったく気にしない。
昨日ヒカルから受けた低評価の汚名を晴らすため、今度こそユウの隣に腰を下ろした。
ちらりとユウが食べているメニューを覗くと、パンとロールキャベツのセットだった。
彼女が好むという和食メニューがなかったらしい。
(あなたのために納豆を開発していると言ったら、どういう反応をするでしょうか。)
告げた時のリアクションを想像して僅かに口もとが緩んだが、すぐに引き締める。
こういう情報は、きちんと開発成功してから提示するのがビジネスの鉄則。