第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
アズールの実験に付き合わされたヒカルは、翌朝ひどい不快感で目を覚ました。
「う……。」
刺すように痛む、胃。
込み上げる嘔吐感に逆らわず、トイレで胃の中身を吐き出したが、元より空っぽなだけに楽にはならない。
(絶対これ、昨日の納豆が原因でしょ……。)
納豆と呼ぶにはおこがましい試作品たち。
実験を重ねるうちに最後の方は食べ物らしくはなってきたけれど、アズールの気が済むまで付き合ったヒカルの胃は悲鳴を上げていた。
「いった…ぁ……。」
「ヒカル、大丈夫? 保健室に行く?」
「ん……、この時間だとまだ開いてないだろうから、様子見る。」
元の世界であれば胃薬も鎮痛剤も常備していたけれど、ここはまったくの異世界。
次からはクロウリーに頼んで必要最低限の薬くらいは用意してもらおうと考えながら、うずくまってうんうん唸る。
「朝ごはん……食べられそうにないから、ユウとグリムだけで…行って……。」
「にゃに!? メシも食えないほど痛いのか? それは大変なんだゾ……!」
「大丈夫。もうちょっと横になれば、良くなる……かも。」
恐らく、昨日のダークマターのせいで胃が荒れただけだ。
原料が食物だといっても、あれは非常に刺激の多い物体だった。
「無理そうなら、早めに保健室行ってね? 朝ごはん食べ終わったら、一度戻ってくるから。」
「ん、気にしないで。今日、日直でしょ……? 自分のことくらい自分でできるから、ユウは学校頑張って……。」
「オレ様が付き添ってやろうか?」
「グリムは授業をサボりたいだけでしょ。ヒカル、今日は一日寝ていてね? じゃあ、自分は行ってくるから。」
最後までヒカルを心配しながら、ユウとグリムが出て行った。
寮の扉が閉まる音を聞き、しばらくはベッドで横になっていたヒカルであったが、やがて胃痛を堪えて身体を起こす。
(昨日の仕事、溜まっちゃってるもんなぁ。)
花壇の水やりも、設備の点検も、やることは山積み。
用務員の道を選んだのはヒカルだから、責任を持って役割を果たさなければならない。