第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
試作品1号は、見かけからしてヤバイが、匂いも酷かった。
「全然納豆じゃないよ。というかこれ、本当に大豆からできてるの?」
「仕方ないでしょう、まだ試作品なんですから。さあ、食べてみてください。」
「……は?」
聞き間違いだろうか。
今誰か、このダークマターを食べろと言ったような。
「さあ、どうぞ。安心してください、元は食料から作ったものです。」
「いや、いやいやいや。ダメでしょ、これを食べ物と呼んじゃダメでしょ。食べられないよ、無理。」
「そうは言っても、納豆の味はヒカルさんしか知らないんですから。食べてもらわないことには改善の余地がありません。さあ!」
ダークマターが乗った皿とスプーンを渡されて、冷や汗を掻く。
ヒカルの本能が「食べたらダメ!」と叫んでいるが、相談役を引き受けてしまったのはヒカルである。
材料は食物だというし、口にしても大丈夫なのだろう。
例え、怪しげな薬が大量投入されているのだとしても、アズールが言うのなら。
「……ッ」
意を決して、得体の知れないソレを口の中へ放り込んだ。
舌を抉るような味と不快感が全身を突き抜け、生理的な涙が溢れる。
無理やりに嚥下したら、喉の奥にまで不快感が広がって、嗚咽を堪えるのに必死。
スライム系の魔物を飲み込んだような喉越しに、ヒカルの全身から汗が吹き出した。
「うッ、ぐ……、げほげほ……!」
「……不味いですか?」
「ま、ん……、うえぇ……ッ」
不味いなんてもんじゃない!と叫びたくても声にならず、アズールが差し出してくれた水を一気に飲み干す。
「ふむ、やはり失敗でしたか。手順を見直しますので、どこがどのように違ったのかを教えてください。」
「1から100まで、全部違うよ……ッ!」
むしろ、どう解釈をしたらこんなダークマターが完成するのかと怒りたかった。