第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ジェイドとフロイドは傍目からはアズールに服従していると見えて、そうではない。
彼らはただ、己のしたいことをしているだけだ。
ゆえに“こうした方がおもしろい”と思ったならば、アズールの意思とは関係なく動き、時には不利益をもたらす。
一見不思議な関係だが、基本的には仲が良いように思える。
「ヒカルちゃんも物好きだよねぇ。わざわざアズールを応援したげるなんてさぁ。」
「罠に嵌めた張本人のくせに、よく言うよ。」
「フフフ、罠だなんて滅相もない。それに、最終的に条件を呑んだのはヒカルさんでしょう?」
まあ、そのとおりだ。
料理の代金を支払えたのに、アズールの“なんでも願いを叶える”という魅力的な条件に負けたのはヒカル。
「頑張ってねぇ? まあ、無駄なことだと思うけど~。」
「無駄なこと?」
「そうそう。小エビちゃんってさぁ、いつかは自分の世界に帰っちゃうんでしょ? 好きになったところで、無駄じゃん?」
ユウはヒカルと同じく異世界人。
元の世界に帰る方法を探していて、いずれは鏡の向こうへ去っていく。
「ひと昔前と違って、他種族間での恋愛は珍しくありません。ですがやはり、異世界の人間であるユウさんとの恋は、不毛ですね。」
「……。」
いつかは必ずやってくる別れの時。
別れが来るとわかっていながら恋を育むのは、不毛なことだとも言える。
「……じゃあ、二人はアズールくんが傷つかないようにあえて邪魔を?」
だとしたら、ジェイドとフロイドもけっこう優しい…――。
「ううん、アズールの邪魔すると楽しいってだけ~。」
「いえ、その方がおもしろそうなので。」
言葉は違えど、揃って同じことを口にする二人に、ヒカルは前途多難だな……と天を仰いだ。