第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
二度目の朝食を双子ととる羽目になったヒカルは、一度目とは違うメニューをフォークでつついた。
向かい合ったリーチ兄弟の背が高いせいでアズールたちの様子はちっとも見えないが、二人からはよく見えるらしい。
「あ~あ、アズールってば、カニちゃんの隣に座ってんじゃーん。」
「え、嘘。」
にょっと背筋を伸ばして窺い見たら、フロイドの言うとおり、アズールはユウではなくエースの隣に座っている。
「困った人だ。せっかくユウさんが気を利かせてさしあげたのに、苦労が水の泡ですね?」
フフフ、と笑うジェイドの目はまったく困っておらず、むしろ楽しそうだ。
アズールの恋の弊害としてまず挙げられるのが、この二人。
昨日のジェイドといい、今日のフロイドといい、彼らは嬉々としてアズールの恋路を邪魔している。
「あのさぁ、アズールくんの邪魔をするの、そろそろやめない?」
「おや、心外ですね。邪魔をしているつもりなどないですよ。」
「いいから、そういうの。一応確認だけど、二人ともユウのことが好きってわけじゃないよね?」
もしそうであれば、いくらヒカルでも恋の邪魔を止められない。
誰が誰に恋をしようと、人の自由だ。
けれども、ヒカルの心配は杞憂に終わり、朝からフライドチキンを齧っていたフロイドが馬鹿にしたように鼻で笑った。
「そんなわけねーじゃん。あ、オモチャとしてなら好きだけどぉ。なあ、ジェイド?」
「そうですね。」
よかった、ここで二人までもがユウを好きだと言ったら、ますます事態が深刻化するところだった。
しかし、ならば二人が邪魔をする理由は完全に悪質な戯れで、それはそれで悩みの種だ。
「じゃあさ、アズールくんの邪魔をするのはやめてあげようね?」
「え~、だぁっておもしれーじゃん。アズールの邪魔すると、大げさに反応してくれっから。」
「……。」
恋を成就させたいのなら、アズールはまず己の腹心たちをどうにかしたらいいと思った。