第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ヒカルの皿だけが空になってしまった時、大食堂がざわっとよどめいた。
何事かと思って視線を上げれば、昨日に引き続きアズールが朝食をとりにやってきたのだ。
しかも、今日はフロイドも連れて。
「あ、小エビちゃんたち見っけたぁ! ねえねえ、一緒に遊ぼうよ~!」
ヒカルたちを見つけた途端、フロイドが無邪気に笑って手を振ってきた。
自然と全員の顔に緊張が走り、ごくりと喉を鳴らす。
グリムたちがアズールの奴隷であった頃、文句を言ったり、言うことを聞かなかった時に制裁を加えたのがフロイドである。
彼らにはまだ、その頃の記憶が鮮明に残っていて、ついでに話を聞いたユウも怯える。
「小エビちゃん、なに食べてるの? あは、芋とかウケる。メシ食い終わったらぁ、オレと追いかけっこしよっか?」
固まっていたユウがぴえっと鳴いた。
すかさずヒカルはフロイドの前に立ち、にっこり笑みを浮かべながら腕を取った。
「フロイドくん、ヒマなの? ちょうどよかった。わたし、是非ともフロイドくんとジェイドくんと親交を深めたいと思ってたの! さあさあ、あっちのテーブル行こう!」
「え~、ヒカルちゃんがオレと遊びたいの? 別にいいけどぉ。」
「遊ぶんじゃなくて、一緒に朝ごはん食べようね。」
「おや、僕もですか?」
「そう、ジェイドくんも! ニコイチセットで親交を深めよう!」
右手をフロイドの腕に、左手をジェイドの腕に絡めたヒカルは、半ば強引に双子を他のテーブルにつれていく。
背後でエースたちが「ヒカル、オレらのために……」と呟いているけれど、そうではない。
すべてはアズールがユウの隣をゲットできるようにする計らい。
ちらりと目配せをしながらエールを送ると、動揺したアズールの瞳がせわしなく動いた。
とにかくヒカルは邪魔者二人をアズールから遠ざけようと、なるべく離れたテーブルまで彼らを引っ張った。