第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
昨日は報酬に釣られて契約をしてしまったが、よくよく考えてみたら、ヒカルはあまり恋愛相談を受けた経験がなかった。
女子にありがちな恋愛相談とは、相談と名ばかりな恋バナを聞き、応援と同調をしてあげることである。
少女漫画でありがちな密室に閉じ込めたり、デートを企画してドタキャンしたり、そういうハプニングは現実では起こらない。
そんなことをしたらユウがブチギレるだろうし、周囲も放っておかないはずだ。
「どうしたの、ヒカル。なにか悩み事?」
朝の大食堂で箸を持つ手を止めて考えていたら、ユウに心配されてしまった。
「ううん、なんでもないよ。ユウの肉じゃがが美味しそうだなって思ってただけ。」
「そっか、じゃあ一口あげる。はい、あーん。」
大きなじゃがいもを口の前に差し出され、ぱくっと食べた。
懐かしい肉じゃがはヒカルが知るものと若干テイストが異なったけれど、それでも故郷に近い味。
「おいおい、朝からイチャこくなよな。目に毒なんだけど~。」
エースにツッコミを入れられ、二人してハッとした。
ヒカルとユウは同性だから必然的に距離が近いが、周囲はユウを男だと思っている。
これではカップルがいちゃついていると思われても仕方ない。
ふと、アズールがヒカルを相談役にしたのは、ユウから遠ざけるための牽制だったのでは、と思った。
「はいはい、ヤキモチ妬かないでよ。じゃあ、エースにはわたしのブロッコリーあげる。はい、あーん。」
「はあ? ブロッコリーじゃなくて、もっといいもん寄越せよ。あ、そっちの肉がいい。」
「ふなぁ~~ッ、オレ様も食いたいんだゾ!」
妙な誤解を生まないためにエースとグリムに手ずから分け与えたら、朝食が空になってしまった。
ちなみに、デュースは冗談が通じない時が多いのでやらない。