第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
「というわけで、ヒカルさんには僕とユウさんが親交を深めるためのパイプ役……いえ、相談役になってほしいのです!」
いや、なにが「というわけで」なのかまったくわからない。
だからヒカルは、きっぱりはっきり言ってやる。
「お断りします。」
「……え。」
「自分の恋路は自分で頑張ろうね? じゃあ、お代の30万マドルは後日集金しにきてもらうってことで……。」
「ちょ、待ってください!」
そそくさとソファーから腰を上げようとしたら、慌てたアズールに引き留められる。
彼がこうも焦燥を露わにするのは珍しいことだ。
「30万マドルがチャラになるんですよ? お得な契約だとは思いませんか!?」
「うーん、面倒だし、お金払っちゃった方がマシかなぁ。」
「なんですって、信じられない……!」
根からの性格なのかは知らないが、アズールは守銭奴だ。
何事に対しても金銭、または見返りを要求し、借りを作るのが大嫌い。
一方でヒカルは金銭に頓着しないので、ある意味正反対の性格と言えよう。
「では、上乗せして報酬を支払いましょう。それでどうです?」
「お金は間に合ってるから。悪いけど、他を当たってくれる?」
「……ッ、なら、お金以外のことで! 取引きに応じてくれたら、あなたの願いをなんでもひとつ叶えましょう!」
これにはヒカルだけではなく、ジェイドとフロイドも驚いた。
アズールが下手になって「なんでも願いを叶える」と言うのは非常に稀……いや、レオナに契約書を盗まれた日を除けば初めてかもしれない。
そして、アズールにはその能力がある。
「……なんでも?」
「ええ、あなたが望むのであれば、なんでも手に入れますし、なんでもしてさしあげます。仏の御石鉢でも、蓬莱の玉枝でも、火鼠の皮衣でも、龍の宝珠でも、燕の子安貝でも、なんでもです!」
「それ、どこのお伽話なの。」
でも、ヒカルには叶えてほしい願いがあった。
お金も宝物もいらないけれど、叶えてほしい願いが。