第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
「なに、簡単なことですよ。ヒカルさんには、とある方と僕との仲を取り持っていただきたい。」
やっぱりか……、とヒカルの中から気が抜けた。
「ちょっと、なんですか、その顔は。」
「いえいえ、続きをどうぞ?」
「……ゴホン、その人物というのが、……まあ、オンボロ寮のユウさんなわけですが。」
そうでしょうね、という気持ちを込めて頷いたら、途端にアズールの頬の赤みが増した。
「か、勘違いしないでくださいよ! ユウさんは学園長にも信頼されていますし、各寮との繋がりも深い。仲良くなっておいても損がないだけです!」
「へぇ……。じゃ、自力で仲良くなったらいいんじゃないの?」
「それができたら、苦労はしないんですよッ!!」
おざなりの返事をしたヒカルの一言に激昂したアズールは、テーブルを力任せにドンと叩いた。
衝撃でティーカップが揺れ、まだ一口も飲んでいない紅茶が零れた。
「失礼します。申し訳ありません、濡れませんでしたか?」
「ありがと、大丈夫。」
寮長の癇癪には慣れているのか、傍らに立っていたジェイドがささっと紅茶を拭う。
「マジになってるアズール、ウケる~。」
「黙りなさい、フロイド! ……お見苦しいところをお見せしました。」
「いえいえ。こちらこそ、多感な時期なのにごめんね?」
「……馬鹿にしてます?」
ちょっとくらい、馬鹿にしたくもなる。
ユウとのパイプ役にさせるためだけにこんな計画を立てたのなら、「お疲れ様です」とも言いたくなった。
「ヒカルさん、お怒りを鎮めてください。アズールも必死なのですよ。」
「そうそう、必死だよね~。」
「先日起きた期末テストの一件以来、監督生さんとお近づきになれたのはいいのですが、アズールのイメージはまだまだ悪いようでして……。」
「話し掛けるとビビられんだよねぇ。あは、アズールかわいそ!」
それこそ自業自得ではないのかと思いながら、ヒカルは嵩が減った紅茶を一口飲み込んだ。