第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ヒカルとアズールがオクタヴィネルに到着した時、ラウンジはちょうど夜の部がオープンされたばかりだった。
このモストロ・ラウンジは、オクタヴィネル寮内で運営されるカフェテリア。
昨年アズールが正当かつ悪徳な手口で多くの生徒から魔法を奪い、それを返還する条件としてクロウリーに営業を許可させたもの。
巨大なアクアリウムに面した店内は海の中にいるようで、店内に流れるジャズの音が雰囲気によくマッチしている。
「おや、これは珍しいお客様ですね。」
「ヒカルちゃんじゃーん。どうしたの? 遊びに来たのぉ?」
アズールに連れられて来店したヒカルを出迎えたのは、ジェイドとフロイドの二人。
このリーチ兄弟は二人して身長が高く、目を合わせるには背筋を逸らさなければならない。
「ふふ、特別なお客様ですよ。ジェイド、フロイド、ヒカルさんにスペシャルコースのご用意を。」
「……ああ、なるほど。かしこまりました。」
「あは、なんか楽しくなりそうな予感~。」
ジェイドは悪そうな笑みを、フロイドは楽しそうな笑みを浮かべ、それぞれが奥へと下がっていく。
「え、ちょっと待って。なにあの反応。怖いんだけど。」
「どうぞお気になさらず。さあさあ、こちらの席におかけください。どうぞ、ごゆっくり。」
今からでも回れ右をしたい気分に駆られたが、スペシャルコースとやらはもう準備が始まっているのだろう。
仕方がなくアズールが引いた椅子に座ったヒカルは、料理が運ばれて来るまでアクアリウムの中を悠々と泳ぐ魚たちを眺めながら暇を潰す。
ほどなくして運ばれてきたコース料理は、ヒカルの想像を遥かに超えた豪華な品々だった。