第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
アズールが落ち込んだのは少しの間だけで、ヒカルの視線に気がついた彼は眼鏡の位置を直しながら元の余裕顔に戻った。
「なにをおっしゃっているのです? 別に僕は、ユウさんに用事などありませんよ。……しかし、ハーツラビュルも暇ですね。部外者たるユウさんを夕食に誘うなんて。」
「ユウはハーツラビュルと仲がいいからね。リドルくんから直接誘われたら、ユウだって嬉しいでしょ。」
規律に厳しいリドル。
少し前の彼ならば、寮生ではないユウを夕食に誘ったりはしなかっただろうが、1章で和解して以来、彼も丸くなってきている。
「リ、リドルさんが直々に……。へえ……、ユウさんはハーツラビュルの方々と仲がいい……。」
眼鏡に当てた指が、心なしかぷるぷる震えている。
そんなアズールを見て、ヒカルは我慢できずに吹き出した。
「ぶふ……、くくく……ッ」
「な、なんですか、いったい。人を見て笑うとは、失礼ですよ!」
「ふ、ふふ……、ごめんごめん。だってアズールくん、すごくわかりやすい反応するから。」
「は? 僕のなにがわかりやすいというんですか?」
怪訝そうにするアズールは、いつもの冷静顔に戻っている。
だからつい、その顔を乱してみたくて余計な口出しをしてしまった。
「アズールくん、ユウのことが好きなんでしょ?」
そう指摘されたアズールは、一瞬真顔になり、それから徐々に肌を赤らめていく。
噴火直前の山みたいな反応に、ヒカルはもう一度吹き出した。