第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
席替えが終わり、アズールとジェイドがそれぞれ食事を持ってきたら、朝食の時間が再開された。
ユウの隣に座ったジェイドは、ユウと楽しそうに喋りながら時折ちらっとアズールの様子を見ている。
「く……ッ」
悔しそうに呻いたアズールのスプーンからリゾットがぽたりと零れた。
「制服、汚れちゃうよ? はい、ハンカチ。」
「あ……っと、これはすみません。僕としたことが。ハンカチは洗ってお返ししましょう。」
「いや、いいよ。どうせ汚れるものだし。」
さっとハンカチを取り返してポケットに仕舞うと、アズールの視線は再び前へ向く。
ジェイドへ向ける眼差しには、明らかに羨望と嫉妬の色が混ざっていた。
「……ユウと仲良くなりたいの?」
「ぶふッ、げほ、ごほごほ……ッ!」
思わずそう尋ねたら、リゾットで噎せたアズールが盛大に咳込む。
「あ、大丈夫?」
先ほどのハンカチを再び差し出すと、ひったくるように奪われ、茹でタコの如く赤い顔をして立ち上がった。
「なん、なんてことを言うんですか、あなたは! 不愉快です! 僕は先に失礼します!」
ハンカチで口元を覆ったまま、アズールはジェイドを置いて食堂から立ち去ってしまった。
「あー、怒らせちゃったかぁ。」
「いや、ヒカル、なにやってんだよ。お前、怖いもの知らずすぎねー?」
「そう?」
どれだけ頭が回り、切れ者として知られていようと、ヒカルにとってアズールは17歳の青年だ。
怖い思いをさせられたわけでもないし、敬遠する理由はどこにもない。
「うーん、謝った方がいいかな?」
「いえ、お気になさらず。ただの癇癪ですので。」
「そっか。でも、ジェイドくんも人が悪いね? わざわざわたしと席を代わらなくてもよかったんじゃない?」
「ふふふ、その方がおもしろそうだったもので。」
わかる、わかるよ。
ヒカルもアズールの可愛い顔が見たい。
そんなふうに思うヒカルは、性格が捻くれている。
「えーっと、二人ともなんの話をしているの?」
「たいしたことではありません。ねえ、ヒカルさん?」
「そうそう、たいした話じゃないよ~。」
ふふっと笑い合ったヒカルとジェイドから、エースとデュースの二人が少しだけ距離を取った。