第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
エースがハンバーグのセット、デュースがオムレツのセットを選んで席に着いた時、これまではあまり食堂で見かけなかった男二人がヒカルたちに近づいてきた。
「これはこれは、皆さんお揃いで。」
「げ……。」
ハンバーグを切るナイフの手を止めて、エースが嫌な顔をした。
「あ、アズール先輩。おはようございます。」
ヒカルたちのもとへやってきたのは、ジェイドを引き連れたアズールだった。
「あれ、フロイド先輩はどうしたんっすか?」
「フロイドはまだ寝ています。朝は弱いのですよ。」
「へぇー。」
ならば寮の食堂を使ったらいいのに、とはさすがのエースも言わなかった。
代わりにユウが嫌味抜きの質問をぶつけている。
「珍しいですね。先輩たちが大食堂で朝ごはん食べるの、初めて見た気がします。」
「え、ええ。まあ、その……、そういう気分の日もありまして。いけませんか? 僕が大食堂を利用しちゃ。」
「いえ、そういうわけでは……。」
ぷいっと顔を逸らしたアズールは、先日の期末テストの一件でヒカルと揉めたばかり。
結果的にはヒカルたちにオーバーブロットを止めてもらって、まあ、少しは良好な関係を築いているのだろう。
「……。」
「……なあ、なんでアイツ、ずっとここに立ってるんだ? なんだか怖いんだゾ。」
こそっとグリムが耳打ちをしてきた。
そうなのだ、アズールは顔を背けたまま黙り込み、もじもじとなにかを言いたそうにしている。
気まずい沈黙の中、痺れを切らしたのは後ろに控えていたジェイド。
「ユウさん、アズールがなにか、貴方に言いたいことがあるようですよ?」
「ばッ、馬鹿、ジェイド……!」
ハッと慌てたアズールがジェイドの口を塞ごうとするが、今さらもう遅い。