第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
うっとりと笑いながら頬擦りをして、恋人らしいキスをして、可愛らしく甘えてきたフロイドは、しかし、全然可愛くないセリフを口にする。
「だってぇ、オレたちこれから、子供作るんだもんね? 一回出しただけじゃ、全然足りないじゃーん。」
「は……、え!?」
胸もとを滑って腹部に下りたフロイドの手が、未だ屹立を入れたままの腹を、ゆくゆくは子供を授かるであろう腹を愛おしげに撫でた。
「楽しみだねぇ、ヒカルちゃん。」
「あ、えっとぉ……。その話なんだけど、ちょっと待たない?」
「……なんで?」
すっと顔を上げたフロイドの目が怖い。
これは回答を間違えると詰むやつだ。
「だってほら、フロイドはまだ学生だし、ちゃんと成人? あ、人魚だから成魚? してからの方が……。」
「はあ? オレ、とっくに成魚だし。ヒカルちゃん、今までオレのこと稚魚だと思ってたわけぇ?」
いや、ごめん。
正直稚魚と成魚の違いなんかわからない。
ただひとつだけ言えるのは、ヒカルが回答を間違えたということだけ。
「だいじょーぶ、安心してぇ? ヒカルちゃんのことはぁ、オレがずーーっと面倒見てあげるから。海の底まで、ね。だから、ね、しよ?」
「や、待って。あなたはちょっと、常識と倫理というものを知った方が……!」
「あは、難しい話わかんなーい。ほら、ヒカルちゃん。一緒に気持ちよくなろーねぇ?」
ぐっと腰を押しつけられたら、中にいたフロイドの雄が急激に硬さを取り戻した。
「オレ、あと三回くらいは余裕でいけっから~。」
「さ、三回!?」
「なぁに? 嬉しいの? うんうん、オレもちょー嬉しいよ?」
「待って、違う! 嬉しくない、全然嬉しくないから、わたしの話を…――ひぅッ」
説き伏せようとした抗議の声は、再開された律動によって嬌声へと変わる。
青春真っ盛りの男子学生の精力は凄まじい。
宣言どおり、その後に三回抱かれたヒカルは、抜け殻のようになって気絶し、狭いベッドで恋人の腕に絞められながら眠った。