• テキストサイズ

Change the world【ツイステ】

第3章 気分屋フィクル!【フロイド】




ヒカルの顔が、絶望の色に染まる。

青ざめ、唇を戦慄かせるヒカルはどう見ても幸福とはほど遠く、そんな表情をさせているのはフロイドだ。

どうして、と純粋な疑問だけが頭に浮かんだ。

どうしてヒカルは、自分のことを受け入れてくれないのか。

どうしてヒカルは、自分のことを抱きしめてくれないのか。

どうしてヒカルは、ジェイドを好きになってしまったのか。

どうして、どうして、どうして。


ヒカルの絶望はそのままフロイドに伝染して、絶頂に達した快楽も、ヒカルを自分色に染めた喜びも、すべてが負の感情に押し流される。

(オレのものになんないヒカルちゃんなんて、いらない。)

ぼたぼたと心が黒く染まっていって、抱きしめていたはずの腕を解き、そして、細くて白い首へと両手を当てる。

ヒカルの身体は本当に細く、人体の生命線である首でさえ、少し力を入れるだけで容易く折れてしまいそう。

フロイドを選ばず、他の誰かを……ジェイドを選ぶヒカルなんて、いっそこの世から消えてしまえ。

邪悪な感情が支配して、首に回した指へ力を込めようとしたけれど……。


無理だ。

ヒカルがいなくなってしまえば、フロイドは泡になってしまう。

他のなにかじゃダメで、代替品の利かないヒカルは、フロイドにとって唯一無二の存在だ。

ヒカルが誰を好きでも、自分のものにならなくても、彼女が存在しているだけでフロイドの世界が輝く。

それだけの人にめぐり逢えたのに。


「……どうして?」

フロイドの頬を、透明な雫が伝った。
ぽたり、ぽたりと溢れては、ヒカルの頬に落ちて弾ける。

「どうしてオレじゃダメなの? ジェイドとおんなじ顔してるよ? なのになんで、オレじゃダメなの?」

フロイドとジェイドは違う。
元は同じ卵から産まれていても、自分たちはまったく違う生き物。

それを一番わかっているのはフロイドなのに、他人から何度も指摘されてきた問いをヒカルにぶつける。

「オレを選んでよ、ヒカルちゃん。ヒカルちゃんが望むなら、ジェイドのマネでもなんでもするからさぁ。」

溢れる涙は、留まることを知らないフロイドの恋情。



/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp