第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
言葉を理解する前に、ヒカルの身体がフロイドから逃れようと動いた。
しかし、一度巻きついたウツボの腕はヒカルの身じろぎさえも阻み、容赦なく奥を穿って腰を揺らす。
「ひ……、あぁッ、待って、それは……むり……!」
「なんでぇ?」
本気で言っているのだろうか。
行動の意味を理解し、危険性を理解し、それでもなお、ヒカルの中に吐き出そうとしているのだろうか。
「やめて……。」
愛する人の子供を授かり、愛する人の子供を産むのはヒカルが憧れた夢。
小さな子供を腕に抱え、精一杯の愛情を注ぐのはとても幸せな未来だろう。
しかし、ヒカルの未来には、隣にフロイドがいない。
数日限りの愛に溺れ、思い出として身体に刻み込むだけならばまだいい。
でも、気まぐれの愛を具現化し、愛する人との思い出に縋って生きていくヒカルに残るのは、虚しさと悲しみだけ。
明日の日暮れには、フロイドとの接点がなくなる。
そうなってしまえば、一本の糸で繋がったヒカルたちの関係も終焉を迎える。
「やぁ……ッ、いやぁ、やめて……!」
そんな未来だけは絶対に嫌で、がむしゃらになって抵抗しても、巻きついた腕はますますきつく締まり、ヒカルから自由を奪っていく。
「嫌がんなよ。どうせヒカルちゃんは、オレから逃げられないんだからさぁ。」
どうせ、逃げられない。
まったくもって、そのとおり。
気づかないふりをしても、彼への愛が膨らみ続けるように、ヒカルは永遠にフロイドから逃げられない。
それを証明するように、屹立を深く突き入れたフロイドがみっちりと埋めた胎内で熱い飛沫を解き放った。
「あぁぁ……ッ!」
吹き出す白濁が身体の内側を穢し、じんわりと広がる欲望の刺激を受けて達してしまったヒカルは、底知れぬ未来へ一歩足を踏み入れた。