第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
びっしょりと濡れた手を引き抜き、吹き出た潮が滴る顔を手の甲で拭った。
透明な液体をべろっと舐めたら、少しだけ海の味がした。
「あっは、可愛い。ほんとにクジラみたいだったね?」
「や……、ひ…っく……。」
達したばかりのヒカルが、喉を鳴らしてしゃくり上げる。
さっと手で隠した瞳が潤んでいるのに気づき、脚の間から這い出て覆い被さった。
「あれ、ヒカルちゃん。泣いちゃう? 泣いちゃうの?」
必死に顔を隠そうとするヒカルの手を無理やりに剥がし、覗き込んだ。
真っ赤に染まったヒカルの頬は、茹でた蛸のようで美味しそう。
ぞぞっと興奮が下肢に伝わり、とっくに勃ち上がっていた雄の先端から粘液が滲む。
「いいよぉ、泣いても。オレが優しく慰めたげる。でも、ヒカルちゃんの泣き顔見ていいのは、オレだけだからね?」
こんなに美味しそうな顔をされたら、他の男たちがイワシの群生のように集まってきてしまう。
そんな光景を想像しただけで苛立ちが募り、発散させるために艶やかな唇へ齧りついた。
「んく……ッ」
恋人にしか許さないと念押しされたヒカルの唇は、甘く、柔らかく、世界にひとつだけの果実みたいで、永遠に独り占めしたくなる。
歯列を開くように舌先で擽ったら、ゆっくりではあるがヒカルは素直に従った。
抵抗しないことに気を良くしたフロイドの機嫌はたちまち回復し、口内に控えていたヒカルの舌を優しく吸う。
ちゅくちゅくと舌を絡めながらヒカルの肌を撫で回し、ボトムのファスナーを引き下げた。
膨張していた屹立はファスナーを下ろすと同時に飛び出てきて、蜜路を求めて涎を垂らすそれを数度扱き、絶頂の余韻でぐちゃぐちゃになった秘穴へと導いた。