• テキストサイズ

Change the world【ツイステ】

第3章 気分屋フィクル!【フロイド】




冷めた紅茶を一気に呷ったヒカルは、マグカップを乱暴にテーブルに置いて立ち上がった。

「ご飯食べよう! 切り替え、大事!」

失恋がなんだ。
恋なんか成就しなくても、人間は寝食さえ怠らなければ生きていける。

正直、食欲はあまりなかったけれど、このままめそめそしながらベッドに入りたくはない。

雇われの身であるヒカルは、学食を利用すれば食費がタダ。
ルームウェアのまま手ぶらで寮を出ようとして、玄関の戸を開ける。

が、開けたドアの先には、恐ろしい怪物……ではなく、ウツボが立ちはだかっていた。

「ぎゃーーッ!」

ドアを開けた瞬間、誰かが立っていたら驚く。
それが想い人であっても、191cmの男がいれば悲鳴だって上げてしまう。

「……うるさ。」

「だ、だって、急に立ってるから……!」

もう来てくれないかも、と思っていただけに驚いた。
せっかく会えたというのに、これでは喜びも半減する。

「……どこ行くの?」

「え、あ、これから食堂に……。」

「は? そんな恰好で?」

眇められたフロイドの瞳が険しくなる。
そんな恰好と言われても、単なるルームウェアだ。

学校が終わった夜の大食堂では、制服を脱いだ寮生でごった返している。
ヒカルは女だから露出を控えた服装を選んでいて、今はTシャツにハーフパンツといったごく普通の恰好。

「脚が出てんじゃん。ダメ、着替えて。」

「え、でも……。」

「いいから、戻れっつってんだろ。」

「あ、はい。」

ギッと睨まれて怯んだヒカルは、頷きながら寮の中へ戻る。
フロイドは脚が出ていると言ったけれど、ハーフパンツから伸びた脚は膝から下だけで、誰かの気に障るほどでもない。



/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp