第1章 全話共通プロローグ!
「ちょっと待ったーー!」
優しすぎる学園長の話に水を差したのは、もちろんヒカルだ。
だっておかしい。
いろいろおかしい。
「なんだオマエ、せっかくオレ様たちが入学できそうなのに、邪魔するんじゃねーんだゾ!」
「いや、そうなんだけど! そうなんだけど!」
話の腰を折った理由を二つほど説明しよう。
その一、ヒカルが知るツイステのストーリーでは、ユウとグリムが二人ひと組でナイトレイブンカレッジに入学する。
しかし、その許可が出るのはもう少し先である。
その辺のエピソードはどうした。
その二、これはとてつもなく重要なことなので、声を大にして言わせていただきたい。
「わたし、ナイトレイブンカレッジに入学したくはないんですけど!!」
「「え、えぇッ!?」」
ヒカルの宣言に、クロウリーもグリムもユウも驚いた。
だが言わせてもらいたい。
なぜにわざわざ魔法士学校へ入学しなくちゃいけないのか。
魔法が使えもしないのに魔法の勉強をしなくちゃいけないとか意味不明だし、ヒカルはとっくに高校を卒業している。
ユウは物語を進める上で入学せざるを得ないとしても、ヒカルまで生徒になる必要はない。
「でもあなた、私に会った時、とても感動してらしたじゃないですか! 我が学園に憧れていたからでは?」
「憧れてはいましたけど、クロウリーさんが考えてるような憧れとは違いますね。」
多くの生徒が憧れるのは、名門校へ入学できる黒馬車の切符。
しかしヒカルが憧れているのは、ナイトレイブンカレッジではなくそこに通うキャラクターたち。
箒に跨り大空を飛べなくてもいい。
大釜で怪しげな薬をぐつぐつ煮込んでマジックアイテムを完成させられなくてもいい。
多くの魔法士たちに指示を出し、戦いに勝利しなくてもいい。
ヒカルはただ、推しの姿を遠くから見守れたらそれでいいのだ。
ゆえに、ヒカルがなりたいものは……。
「雑用係に! 是非とも雑用係にしてください!」