第1章 全話共通プロローグ!
オンボロ寮にゴーストが住み着いていたことは、クロウリーも忘れていたらしい。
ヒカルの説明を聞いたクロウリーはなにかを考える素振りをして、ユウとグリムをしげしげと眺める。
「ふぅむ、モンスターを従わせる力があるんですかね。しかし、うーん……。」
「……あの、グリムも寮に置いてもらえませんか?」
「なんですって? モンスターを?」
「はい。魔法が使えない自分やヒカルだけじゃどうしても心許ないですし、グリムも話せばわかってくれるモンスターです。」
実際ヒカルに猛獣使いの才能や、なにか特殊な力があるのかはプレイヤーであるヒカルも知らない。
ツイステは配信されたばかりで完結しておらず、物語のすべてを知っているわけじゃないのだ。
だけど、ここでグリムが仲間にならないとヒカルも困るので、追撃とばかりにクロウリーを追い詰めた。
「ね、クロウリーさん! 一応はわたしたちの身柄を預かってくれたわけだし、わたしたちの安全を確保するのもクロウリーさんの義務ですよね? グリム一匹寮に置いておくだけで、その義務から解放されるんですよ? お買い得じゃありません?」
「ふな!? オレ様は番犬じゃな……もがもがッ」
余計な口を挟もうとしたグリムの顔をユウが塞いだ。
ナイスアシスト。
「ふぅ……、仕方ありませんね。いいでしょう、グリムくんもお二人と同じく寮での生活を許可します。」
「え、本当か!?」
「ただし、ヒカルさんとユウさんは魔法が使えませんから普通の生徒として迎え入れることはできません。」
「なんだそれ。ぬか喜びなんだゾ!」
「話は最後まで聞きなさい。協力してゴーストたちを退治した功績は認めましょう。よって、あなたたちは三人でひとりの生徒としてなら、ナイトレイブンカレッジの在籍を認めましょう!」