第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
どうして忘れていたのだろう。
ヒカルの膝の上で寛ぎ、頭を撫でさせていたのは可愛らしいイルカなどではない。
鋭い牙を持ったウツボだってことを。
最初に感じたのは、肌寒さ。
無意識に毛布を探して彷徨う手に、さらりと心地良い髪が触れた。
それはヒカルの髪ではなく、もっと下の、股のあたりでぶつかった感触。
なぜそんなところに髪が?なんて考える時間はなく、浮上しかけた意識を次に襲ったのは肌が粟立つほどの快楽。
「……んッ」
はあはあと、荒い吐息がヒカルの大事なところに吹き掛かる。
それだけでも卑猥な刺激を生んでしまうのに、温かな舌で舐め啜られたら、突き抜ける快楽がヒカルの頭をガツンと殴った。
「ひッ、んぁ、あぁ……!」
ばちりと目を開けたヒカルは、一瞬それが夢かと思った。
だって、眠りから目覚めた瞬間に、裸になって秘処を舐められているなどと、夢以外に考えられなかったから。
なんて淫らな夢を、と混乱するヒカルの頭に、聞き覚えのある声が間近で響く。
「あ、ヒカルちゃん起きた? おはよー。」
「え……、フロ…イド……?」
フロイドの声が聞こえてきたのは、ヒカルの隣でも上でもなく、もっと下。
いつの間にやら素っ裸になったヒカルの両脚を抱え、むしゃぶるような体勢でヒカルの秘部にに顔を埋めている。
「なに……、なにしてるの……?」
「え? なにって、ヒカルちゃんのここを舐めてたんだけど?」
ほら、と見せつけるように差し出た赤い舌が唾液に塗れたそこを舐め、いやらしい音が響く。
「ひ…ぅ……ッ、そ、そういうことを、聞いてるんじゃなくて……!」
いったいいつから舐めていたのだろうか、ぐずぐずになった秘部からは唾液とは別の体液が流れ出て、ひくひく痙攣を起こしている。
「な、なんで舐め……ッ、ていうか、わたし裸……!」
きょろりと周囲を見渡せば、ベッドの下には脱がされたのであろう作業着が放り投げられている。
誰が脱がせたのかなんて、聞くだけ愚問。
「だってぇ、脱がせて舐めないと交尾できねぇじゃん?」
同じく上半身だけ裸になったフロイドの股間では、すでに臨戦態勢を整えた雄がスラックスの中でパンパンに膨らんでいた。