第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
真面目に手伝いをしてくれたからうっかりしていたが、フロイドは根っからのイカレ野郎である。
むしろ、なぜ油断していたのだろう。
そんなイカレ野郎の傍で迂闊にも眠ってしまうとは、腹を空かせた猛獣の隣で昼寝をするのと同義である。
「ほらほら見てー。ヒカルちゃんのここ、もうこんなに濡れてんだよ。オレ、ちゃんと濡らしてえらくない?」
「偉くない! 人が寝ている間に、なにしてんの!?」
「だって、ヒカルちゃんよしよししてくんねーし、ブロットが全然減らなーい。」
そうだ、思い出した。
寝起きでこんな状態になっていたからすっ飛んでいたが、フロイドはオーバーブロット寸前だったのだ。
「わ、わかった。今からするから、そこどいて!」
「ヤダ。ヒカルちゃんが撫でてくんねぇから、ブロットがもっと溜まった。あーあ、もうオーバーブロットしちゃいそう。」
「え、えぇ!?」
困る、非常に困る。
こんな時にこんな姿でオーバーブロットしたら、ヒカルは確実に死ぬ。
とりあえず物理的に死ぬし、夜中に素っ裸でナニをしてたんだ……と周囲に思われて魂も死ぬ。
「ほらほら、そんな顔しなーい。」
蒼白になってフリーズしていたら、脚の間から這い出てきたフロイドが嬉々として覆い被さり、ヒカルの頬を抓った。
「ら、らって、わたひ、どうひゅれば……。」
「あはは、なに言ってるかわかんなーい!」
「……ッ、ふざけない! もっとちゃんと、ブロット減らす方法考えてよ!」
べしりと頬を抓る手を払いのけ、呑気なフロイドを叱った。
するとフロイドは、ヒカルの胸に頬を寄せてごろごろ甘えながら、艶のある声でこう言った。
「だからぁ、ヒカルちゃんが交尾してくれたらブロットなんかなくなるって。」
「え……、ほんとに?」
「ほんとほんと~。だからさ、ね、しよ?」
さっきまで調子よくふざけていたくせに、急に色気を孕んだフロイドがうっとり笑んだ。