• テキストサイズ

Change the world【ツイステ】

第3章 気分屋フィクル!【フロイド】




しくしく、なんてもんじゃない。
感情が爆発したヒカルは、大きな声でむせび泣いた。

いわゆる、お子様泣きというもの。

「ううッ、うえーん!」

ぼろぼろ大粒の涙を零し、声を引っくり返してしゃくり上げる。

恥ずかしいし、情けないし、悔しいし。
どれを取っても涙の理由としては十分で、場所も忘れて大泣きした。

成人女性のガチ泣きは、控えめに言っても引く。
女性に幻想を抱く思春期男子ならば、なおのこと。

ではフロイドの反応はどうかというと、笑うでも呆れるでも、引くでもなく、珍しく動揺していた。

「え……、どうしたの、ヒカルちゃん。ど、どっか痛い?」

「ふぐ、ううぅ~~!」

「泣かないでよ。えーっと、よしよし。」

子供を相手にするように頭を撫で、溢れる涙を必死になって拭ってくれた。
しかし、その程度の慰めで涙がとまるはずもなく、ぼろぼろ泣いてはフロイドを困らせた。

まあ、原因はフロイドにあるのだが。

「うーんと、どうしよう。あ、ジェイド呼ぶ?」

「よ、呼んだら……ッ、ゆる、許さない……ッ!」

それはただの公開処刑だ。
だらしない恰好のまま、だらしなく泣き、ぐちゃぐちゃの顔でフロイドを詰る。

「えー……。じゃあオレ、どうしたらいい? 泣きやませ方なんか知らねぇし。ヒカルちゃんが泣きやむなら、なんでもしてあげるー。」

「ひっく、ぐす……、なんでも……?」

「うん、なーんでもしてあげる!」

言ったな? 言質は取ったぞ?
どうせ約束なんて守らないだろうけれど、ずずっと鼻を啜ったヒカルは行儀悪くフロイドに指を突きつけた。

「じゃあ、わたしの仕事、手伝って! オンボロ寮の掃除も一緒にして!」

明らかに面倒な頼み事。

フロイドならば約束を反故にして「ヤダ」と言うかと思いきや、予想に反してあっさりと頷く。

「いいけど。」

「え……、本当に?」

「うん。だって、そうすればオレ、ずーっとヒカルちゃんといれるもんね?」

「ハ……ッ」

なんて馬鹿なお願いをしたのだろう。
なんでも願いを聞いてくれるというのなら、二度と近づかないでくれ、と言った方がよかったのでは。

しかし、今さらそんなことを思っても、ヒカルの涙はすっかり止まっていた。



/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp