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Change the world【ツイステ】

第3章 気分屋フィクル!【フロイド】




回れ右をしたい気持ちをぐっと抑え、なるべく無表情を心掛けた。
そうしないと、昨日の苛立ちが蘇ってきそうだから。

「どーしたの、こんなところで。あ、もしかしてぇ、オレに会いに来たとか?」

「……ハハ、まさか。」

常々思っていたけれど、フロイドはとてもポジティブだ。
普通に考えて、強姦まがいに犯した男に会いたいと思うわけがない。

というよりたぶん、フロイドの中では昨日の一件は互いの合意があっての和姦だと思われていそう。

合意なんて、微塵もしていないけれど。

「ユウを捜してるだけだから、それじゃ。」

軽く会釈だけして傍らを通り過ぎようとすると、長い腕がぐるりとヒカルに肩に巻きついた。

「あー、あの監督生? オレ知ってるよ、案内してあげるー。」

「……いや、場所だけ教えてよ。」

カレッジは広いけれど、ヒカルもずいぶん慣れた。
授業中も常に移動しているので、場所だけ教えてもらえれば迷うこともない。

「いーからいーから、オレが連れてってあげる!」

「だから、場所だけ――」

「……なに? ヒカルちゃん、文句あんの?」

ご機嫌な口調から一転、フロイドの声が地を這った。

同時に肩を抱いた腕の筋肉がぎゅっと締まって、ただならぬプレッシャーを感じる。

多くの生徒たちを絞め落としてきた腕。
フロイドはきっと、女だろうと容赦はしない。

「……案内、してもらおうかな。」

「だっよねー? こっちこっち! ヒカルちゃん、行こ。」

コロッと機嫌が直ったフロイドは、本当に気分屋だ。
横暴なウツボについていきたくなどなかったが、頑なに拒めばどんな目に遭わされるかわからない。

ヒカルとフロイドの組み合わせは珍しく、事情を知らない生徒たちから多くの注目を集めていた。



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