第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
ヒカルを貫いた雄の質量は変わらないけれど、突き挿したままでいるうちに馴染んでくる。
人体の不思議である。
あとで調べてみないとなんとも言えないが、たぶん裂けたり流血したりはしていないようだ。
もしヒカルが処女ならば、それはそれはエグイ結末を迎えていただろう。
徐々に楽になってきたヒカルとは対照的に、苦痛を感じてきたのはフロイド。
滾る熱杭を濡れた媚肉で包まれて、艶めかしい息を吐いた。
「あ、はぁ……。もー我慢できねぇ。動くから、おとなしくしててね?」
「ん……ッ」
みっちりと中を埋め尽くしていたものが、蜜の潤滑を借りて引き抜かれる。
途端に解放感と喪失感がヒカルを襲ったけれど、そんなものは束の間の自由。
一度挿入を達成したフロイドは、二度目からは容赦がない。
ぎりぎりまで引き抜いたそれを、今度は勢いをつけてぶち込んできた。
「あッ、んは…ぁ……ッ」
肺から空気が押し出て、ぐらりと視界が揺らぐ。
体験したこともないくらい深く貫かれたヒカルには、与えられた衝撃が苦痛なのか愉悦なのかもわからない。
一方で明確な悦楽を感じているのがフロイドで、常軌を逸したような様子で腰を振りたくる。
「やっばぁ、ねえこれ、スゴイね? 人間の交尾って、すっごく楽しいかも~。」
「う…ぁ……、あ、あ、ひぅ……ッ」
「胸も触ってみたいけど、脱がすのめんどくせー。こっちは今度触らしてね?」
楽しいのはそっちだけとか、今度はないとか、いろいろ言ってやりたいことはあった。
しかし、慣れ始めてしまった身体は順応性が高く、しだいに無視できないほどの感覚がヒカルを侵食し始めた。
痛みや苦しみを押し退けて、顔を出した快楽。
ずっぷりと咥え込んだ屹立が内壁の弱い部分を擦ったら、ヒカルの意思とは関係なしに甘い声が漏れる。
「んはぁ……ッ」
「……なぁに? ここ? ここ、キモチイイの?」
鈍感なようでそうじゃないのか、フロイドはヒカルの変化に気がついた。
どうせ一方的な行為なのだから自分の快楽だけを追っていればいいのに、腰を抱え直したフロイドはヒカルの弱いところを執拗に突き始める。