第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
ソファーに突っ伏し体重を支えているヒカルには、フロイドの状況がなにひとつ見えなかった。
けれども、浮いていた足が床につき、舌でも指でもない硬くて太いものが押し当てられれば、必然的に状況を悟る。
「あははぁ~、すっげ、ほんとに硬くなるんだぁ!」
なにが、とは聞けない。
というか、聞いている場合ではない。
「や、やめて……! 挿れないで!」
「そんなこと言ったって、もう先っぽ入っちゃってるし。」
「んぐ……ッ」
みしり、と蜜口が広がって大きな異物が入り込んだ。
直感的に無理だと思った。
先端部分すべてが入ったわけでもないのに、すでに入口が突っ張って痛い。
この体格でこの身長だ、フロイドのそれは、たぶんそうとう大きい。
「む、無理! 無理だってば…ぁ…ッ、そんなの、入らな……ッ」
「なぁに言ってんの? 人間はみんな、こうやって交尾してるんでしょ? ムリなわけないじゃーん。」
違う、そうじゃない。
サイズが! 規格外だと! 言ってるんだ!!
「いぅ……ッ、ほんとに、無理……! 裂けちゃう……ッ」
「んー? 言われてみればちょっとキツイかも? えー、これってどうしたらいいの?」
「だから、抜いてって……!」
普通の恋人なら、ここで抜いてくれるだろう。
しかし、フロイドはヒカルの恋人でなければ友達でもない。
そして、常識がある男でもなかった。
「えー、やだ。ほら、頑張ってよ。ゆっくり入れてあげるからさぁ。あは、オレってやっさしー!」
「ふざけ、ん、あぁ……ッ」
フロイドが思うゆっくりと、世間一般のゆっくりは違う。
捻じ込むようにぐりぐりと押し進んできて、堪らず悲鳴を上げた。
これがゆっくりなら、彼が思う通常はどのくらいのスピードなのか。
想像するだけで怖い。