第4章 【蟲】もう一人の姉
*「まだまだ試行錯誤している私が指導できる立場ではありませんが、一緒に自分に合った戦い方を探すことはできます。」
し、カ「!!!」
*「しのぶさんの得意なことを組み合わせたり、他の呼吸を試してみたり、私がやってきたことにも何か良いものがあるかもしれません。
時間はかかるかもしれませんが、一緒にいろいろ試してみましょう。」
し「え?」
*「え??」
し「てっきり断られるとばかり...」
そこまで言うとたまっていた涙があふれだしてしまった。
*「えっ!待って待って!泣かないで!
カナエさんどうしたら、ってカナエさんも泣いてる!!」
あそこまで動揺していた*さんをみたのは最初で最後だったかもしれない。
それから*さんとの合同任務や鍛錬を一緒に行い、長い月日をかけてたどり着いたのが、今の私の戦い方である"蟲の呼吸"。
途中、いつも鍛錬に付き合ってもらうのが申し訳なくなり、鍛錬に付き合ってもらうのを遠慮したことがあった。
その時*は「私も鍛錬に付き合ってもらっていますから遠慮は無用ですよ。
それに、カナエさんから花の呼吸を教えてもらっていますので、むしろこちらが申し訳ないくらいです。」
*さんのこの口調はクセだと言っていた。
鬼殺隊は実力で階級が変わるので、自分より年上の隊士が上の階級とは限らず、その逆もあるからということらしい。
実際、年下である私や姉さんにもずっとこの口調だった。
*さんはとてもやさしい人だった。
やっと突破口を見つけたとき、*さんは自分のことのように喜んでくれた。
私にとって*さんは、同じような悩みを持った同士であり、もう一人の姉のような存在だった。
この身を犠牲にしてでも守りたい、とても大切な存在。