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【鬼滅の刃】稽古はお嫌い?【柱】

第5章 身を削る思い


異なる呼吸に切り替える際に体には大きな負荷がかかる。
*はそれを一度の戦闘で何度も行うことができた。
しかし、それはできるというだけで体への負担がないわけではない。
見た目の変化はあまりなくとも、内側から少しずつ体を蝕んでいく。
今では、*が一度の戦闘で全力で戦える時間はそう長くない。
そのことを知っているのは、*の体を調べてくれている蟲柱のしのぶとお館様のみ。

蟲「このままでは体が何年もつかわかりません。
 戦闘を避け、呼吸を使わないようしなければ本当に死んでしまいます。」
*「私たちは常に死ぬ覚悟で任務にあたっています。
 この身を犠牲にしてでも一体でも多くの鬼を狩る必要があります。
 わかりますよね、しのぶさん。
 あなたも似たようなものですから。」
蟲「えぇ、わかっています。
 だから私も*さんにはできる限り協力いたします。」
しのぶは羽織を強く握りしめながらそう答えた。

しのぶが今着ている羽織は姉のカナエのものだ。
カナエは上弦の鬼との戦いで亡くなっている。
その上弦の鬼を倒すためにしのぶはとある策を練っている。
それはとても安全とは言えない方法であるため、密かに行っているものだ。
それをいち早く*は気づいていたのだ。
しのぶと*はお互いに心配しているが、それを咎める資格はない。
むしろそれほどの強い意志を尊重したいとすら思えているのだ。

蟲「しかし、わからないことがあります。
 あなたをそうまでさせる理由を私は知りません。
 *さんはあまり過去のことを話されませんので。」
*「そうですね、そういった話はあまり明るくはありませんので得意ではないです。
 鬼殺隊に長くいるといろんなことがあるんですよ。」
と言って話を切り上げようとした。
蟲「そういえば、*さんの話したい事って何だったんですか」
*「あなたが行おうとしている秘策に気づいていますよと言いたかっただけですよ。
 さて、もう日も傾いてきましたので私は失礼しますね。」

*の過去を知るものはほとんどいない。
同期はすでに亡くなっているか、隊を離れたものばかり。
それは*がそれほど長く鬼殺隊に属しているからということもある。
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