第16章 華と風の宴
「信長公の正室かぁ。すごいね、あさひさん。」
『何も変わらないよ。また遊びに来てね。』
『お、お前、あさひの部屋に忍び込んでるのか?』
『あぁ、時々お茶してる。』
『おい!それ、聞き捨てならないぞ!』
『安土の強化をしなくては。』
『佐助ならいいんじゃねぇか。友達だろ?』
『政宗公!ありがとうございます。』
『おう、今度甘味持っていくから俺も混ぜろ。』
「じゃあ、家康も…。佐助くん喜ぶし。」
『気が向いたらね。』
また、わいわいと話が弾む。
しかし、信長と謙信、信玄の間には違う空気で静寂があった。
光秀がそれを見つめる。
『この宴、あさひの幸せそうな顔が見れて良かった。』
『そうか。』
『決して、天女を泣かせるなよ。』
『あぁ。言われるまでもない。』
『信長よ。』
謙信が信長の方に体を向ける。
二人の視線が交わる。
その事を、家臣達はすぐに気付き姿勢を正す。
ただひたすらに、二人の話の行く末を見守り始めた。
ざあっと花を揺らし、葉を舞い上がらせて風が吹いた。