第16章 華と風の宴
『あさひ様、御支度が終わりましたら、城門に皆様がお待ちです。』
「あ、はい!」
(せっかくだから、これ付けて…みんな気づくかなぁ?)
あさひは、期待をを抱きながら、城門に向かった。
城門では、信長を含め安土六武将が、主役の登場をまっていた。
『ねぇ、まだなの? 寝てるの?』
『御館様、昨夜はあさひを寝かしましたか?』
『あぁ、ぐっすりとだ。』
『ぐっすりと疲れさせた、のですか?』
政宗が意地悪な笑みを向ける。
ふっと笑った、その時だった。
城門に向かって賑やかにな声になる。
『あさひ様、今日もお綺麗です。着物の見立ても素晴らしい。』
『上杉も驚くでしょうな。』
『その髪の結い形、教えてくださいね!』
「あ、はい。ありがとうございます。いってきます。」
どんな格好かと、気になり一同が目を向ける。
赤から桃色にグラデーションがかかる小袖には、蝶の刺繍があしらわれ、秀吉から、贈られた帯と帯紐を付けている。
髪は小分けに結って簪には政宗の贈り物を使っている。
普段のあさひとは別人の、大人びた姿があった。
皆がの視線が集まるあさひは、首をかしげて
「変、だった?」と尋ねた。
『いや、なんか見違えたな。』
『簪、やっぱり似合ってる。』
『馬子にも衣装、だな。』
『上杉殿達に見せたくありませんね。』
『じゃあ、やめようか。』
『あさひ、俺から離れるなよ。』
一同が馬に跨がる。
あさひは信長に横抱きにされた。
『夕までには戻る。』
『はっ、いってらっしゃいませ。』
六頭は一斉に走り出した。
「どちらに行くんですか?」
『え、あさひ知らないの?』
『まだ、言っておらぬ。』
『御館様はまだ、さぷらいず気分ですか?』
「教えてくださいよ!もぉ。」
賑やかな笑い声が森のなかを響き渡る。
少し経つと見慣れた丘が見えてきた。
鷹狩りで訪れ、雨の中を逃げ込んだ丘。
陽のひかりで鮮やかに彩られる花畑と深緑の海。
丘に立つ木の側には、傘が立ち畳が引かれていた。
光秀が運んだ安土の銘酒と、政宗の作った重箱が並べられている。
『あいつら、まだ来てないのか。』
各々が馬から降り、支度を始めた。
あさひも信長と降り、信長と花畑へ向かう。