第14章 雨上がりの夕陽
『そういえば、貴様を暫く愛でていないな。宴の夜は覚悟しろよ。』
そして、また二人は口付けを交わす。
それはお互いの存在確かめるように。
絡まった糸をゆっくりほどきながら、新しく紡ぐように。
高く上っていた陽の光が、真っ赤な夕陽になって二人を照らしていった。
※※※※※
『おい、入らないのか? 家康。』
あさひに食事を届けようかと訪ねに来た政宗が、家康に声をかけた。
『あ、いや…』
家康が俯く。
『え、お前… 真っ赤だぞ?』
すると、勢いよく襖が開いた。
『家康、立ち聞きはいかんな。』
「え、家康!いつからいたの?」
『最初の口付けあたりからか?』
ニヤリと笑った信長が、家康の頭を、ぽん!と叩いた。
「結構、最初からってこと?」
『なっ、わかってて!?』
『家康、政宗。俺は、政務に向かう。あさひの診察と飯を頼む。』
『はっ。』
『はぁー。』
「ふふふ」
あさひのいつもの笑顔に、二人もつられて微笑み、部屋に入っていった。
信長は、笑いながら部屋をあとにした。