第11章 壊れた歯車
『では、皆様お願いします!』
『秀吉、三成、城を頼む。』
『はっ。』
『政宗は、森。家康は、城下へ…』
『お待ちください!』
『あっ、光秀さん!』
『お前、何やってた? あさひが…。』
『知っている。馬に乗ってお出掛けしたのだろう?』
『なに、悠長なこと言ってるんだ!』
秀吉が光秀に掴みかかる。
『慌てるな。御殿から此方に来る途中で、早馬に乗るあさひを見た。だから、俺の忍をつけた。
追いかけるには無理だったからな。
…信長様、もう少しで報告が来るかと。』
『光秀、よくやった。』
『じゃあ、俺は御殿に戻って薬とかそういう準備します。』
『家康、頼む。』
『政宗、光秀、報告の後は貴様らが俺に続け。
…それと、光秀。この後、またあさひが熱を出すかもしれぬ。春日山に、宴を送らせる可能性がある事を伝えよ。理由は適当に繕え。』
『はっ。』
(あさひ…、そなたを想う程に…すまなかった。
無事でいろ。)
信長は、薄曇りの空を見上げ目をつむった。