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暁の契りと桃色の在り処 ー紅ー

第3章 花冠と蒼空の鷹狩り


『ドクダミと熊笹かな。あと、柿の葉。』

「すごい!
もうわかったの?じゃあ、探さなきゃ。」

『そうですね、あさひ様」

あさひと三成は、足元を手探りで探し始める。

『三成とあさひだけじゃ、日が暮れる。
こっち。』

家康は、怠そうに、でも楽しそうに歩き出した。


※※※※※


「たくさん、見つけられてよかったね!」

『うん、意外と沢山あったな。』

風呂敷に、薬草を並べながら答える。

『腫れ止めに咳止め、毒消し。家康様の知識は素晴らしいです。』

『書物より役に立っただろ?』

『はい。これからは、薬草の知識は家康様から得ることにします!』

『…嫌みなんだけど。』

「ふふふっ、仲いいね!」

『はぁ?あさひ、何をみてそう思うの?
馬鹿じゃない?』

頭の高さまで陽が登り、穏やかな風が肌を撫でる。
三人の掛け合いが、静かな草原を賑やかにさせていた。

「あ、羽黒!」

あさひが、見上げた空を指差した。
そして聞こえる蹄の音。

四人が鷹狩りから戻ってきた。

「お帰りなさい!」

あさひが駆け出す。
残された二人もゆっくりと、その音に向かって歩き出した。


※※※※※


「美味しい!」

あさひが道中で買ったみたらし団子を頬張る。

『ほんとだ。旨いな。』


あさひの口元に付いたみたらし餡をペロッと舐めながら政宗が応えた。

「ちょっ、政宗!」

『怒った顔も可愛いぞ。』

「もぅ、!」

『…ねぇ、この大福も旨いから食べたら?』

「え、家康、甘いもの食べれるの?」

『これ、かけてる。』

手元には唐辛子の小瓶。
あさひの手のひらに置かれた大福は、驚くほど赤かった。

『家康、あさひが腹壊すだろ。』

秀吉が真っ赤な大福を、家康の手のひらにのせた。

『唐辛子と大福…不思議な組合せですね。』

『じゃあ、三成にあげる。』

『本当ですか!』

『三成…、やめとけ。』

「ふふふっ」


小高い丘の上で五人の話し声が賑やかに響く。
それを肴に、持ってきた酒を信長と光秀が酌み交わす。

青空の下での昼の宴を、信長も穏やかな表情で見つめていた。
光秀は、そんな信長を横目で見ながら、くいっと酒を飲んだ。






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