第3章 花冠と蒼空の鷹狩り
青い蒼い透き通るくらいの高い空に、
羽黒が舞う。
早く行こう、と誘うように。
『あさひ、甘味はどうした?』
馬上から信長が声をかける。
「丘に置いて来ました。」
『鷹狩りの間に食べればよいだろう。』
「お戻りになったら、皆で食べましょう。
その方が美味しいし楽しいですよ。
狩りの間、私は家康に薬草の事を教えてもらっています。」
『ふっ、好きにしろ。』
信長の後ろで秀吉が
『三成、あさひの護衛頼むぞ。』
と話すと、
『お任せください。
あさひ様、私も家康様の薬草の知識、興味深いです。お供します。』
と、いつものエンジェルスマイルで答えた。
『お前に教える知識はないから。』
ぼそりと呟く家康に
光秀がククッと笑う。
『沢山獲物を狩って、たらふく旨いもの食わせてやるよ!』
「うん、待ってる!」
政宗がの言葉に、陽の光に負けないくらいの笑顔であさひが返した。
『では、参る!』
馬を森の方に向け、四人は付かず離れずの距離を保って馬を走らせた。
『「いってらっしゃいませ!」』
あさひは、大きく手を振り、見送った。
※※※※※
『…で、なんで、薬草が知りたいの?』
家康は、薬草集めの手を止めずにあさひに尋ねた。
「あ、えっとね。
肌の調子が良くないときがあって。
この時代の化粧を教えてもらってはいるんだけど 時々、荒れたりしてね。
そういう時は、500年先から持ってきてた小さな小瓶の化粧道具を使ってたんだけど…。ついこの間、無くなっちゃったの。」
『それで?』
「針り子のみんなに、化粧道具や肌の調子が悪い時の話を相談したら、薬草がいいって聞いたから。家康に教えてほしくて。」
『ふーん』
『あさひ様の美しさは、日頃の努力の賜物なのですね。』
『三成、煩い。』
「それにね、少しでも薬草の知識があれば、皆や信長様を助けてあげられるかなぁ…って。」
『あさひ様、私も同じです。家康様に教えて頂きましょう。』
『三成、お前には教えない。』
薬草集めの手を止めて、家康はゆっくりと立ち上がった。
『肌の調子を整える…、ねぇ。』
少しだけ考え込んだ家康は、すぐに話始めた。