第18章 学生編・残暑のValkyrie(幕間)
車を降りて箱まで歩いてる途中に脳筋パイセンと遭遇し、ついでに一緒に行く事にしながら歩いてると脳筋パイセンがポツリと呟く。
「姫サンは一緒じゃねぇんだな」
『ゴトー先輩も呼ばれたの?じゃあ姫もかな?』
今日は金曜日だし椎名は箱に出勤してるハズ。
姫も呼ばれてるなら姫のお迎え行けば良かった。あの腕じゃ単車運転出来ないだろうし、何より一番家が遠い。
「珍しく男口調での呼び出しだったからオレも慌てて来ちまったぜ」
そう言う脳筋パイセンは普通に仕事着のまま。汗臭い。
『あ、私も。もしかして姫にもあんな口調で呼び出したのかな?』
「いや、それはねぇだろ。男口調に戻っても姫サンには絶対に命令口調はしねぇ」
『確かに』
※※※
『みーかたーん!』
「ぐえっ!?」
と影片に飛び付く下宮はThe、offと言うTシャツにショートパンツと言うはしたない格好。髪の毛も少し湿り気が有るし急いで箱に来たんだろう。口には出さないが、この清秋と言う人が黄音なのは一目瞭然だった。
『つーか何の用事?姫は?』
「姫様は忙しいでしょ?呼んで無いわ」
「影片。僕達は帰る支度をしよう。此処に居るのは良くない」
「はい、お師さん…」
あれだけ影片にゾッコンな下宮も影片を離して池上先輩に向き合う姿は珍しく、ただ事では無い事は感じ取ってる様子だった。
『何この雰囲気。言いたい事が有るならハッキリ言ってよ』
苛立たしそうな下宮の声がやけに響いていた。
※※※
Valkyrieの二人がバックヤードに行ったのを確認するとオカマ野郎が似合わない重々しい口を開く。
「実菜未。お前智桜姫様から何か聞いてない?」
『何かって何?』
「骨折の事」
本当に珍しく普通の男口調に多少の違和感を覚えながら答えると眉間を抑えながら、また重々しく口を開く。
「朱音様の骨折、俺達のせいかも知れない」
『「!?」』
「気付かなかったけど…思い当たる節があるんだよ」
私達の持ち味でもあるトークを端折ってまで突っ走る演奏をした事。