第17章 学生編・残暑のfine(幕間)
「君…えっと…下宮さん、だっけ?」
『はい?』
「何処と無く藍音くんに似てるよね」
ガシャン、とフォークをテーブルの上に落としてしまう。
それを姫が拾ってナプキンでフォークとテーブルを吹いて"動揺し過ぎ"と小声で注意される。
『そ、そう?あんな雌豚と一緒にしないで欲しいんだけど…主にどの辺が?』
(自分の事、雌豚って…)
「藍音くんが朱音くんにベッタリなところ。君が桜音さんにベッタリなところと良く似てる」
だって私と姫だもん仕方無いよね。いやでもここはシラを切り通さなければならない。
『あの二人は恋人だからね!私達は親友、友愛!』
一同「恋人って本当だったんだ…」
助けを求める様に姫に"ねっ?"と話を振れば"ええ"と完璧な綺麗な笑顔で頷いてくれる。良かった、何とかなりそう。
※※※
正直、怪しんでいたけど…どうやらアテは外したみたいだ。
藍音くんと下宮さん、本当によく似てる。同一人物だと思ってたんだけどな。朱音くんや桜音さんへの執着具合とか背丈体型、声の高低は全然違うけど声の高低くらいは誰でも変えられるし喋り方とか。
最も可能性の低い事を言えば朱音くんと桜音さんは何か繋がりがあるのでは無いか、とか。まぁそれは正直言って有り得ないだろう。
「そう言えば昨夜の話はメンバーから聞いてたりするんですか?」
『はい、多少は』
『喰うつもりでやったけど喰えなかったってねー』
『皆様、大変素晴らしいパフォーマンスだったとか。拝見出来なかったのが残念です』
そこでふと思い付く。
「桜音さんは模試で来られない事は存じてましたが下宮さんは?」
『私はバイトー!姫と違ってお馬鹿学校だから勉強に煩くないし日々バイト三昧なの』
「そこさぁ、お馬鹿学校って胸張れるの?」
『何このお子様』
『ちょっとみい』
桃李に突っかかりそうになる下宮さんを桜音さんが優しく宥めると桃李が甘える様に桜音さんの腕に抱き着く。そしてまた…繰り返し。
『みいってば歳下の挑発に乗らないの』
『分かってるけどさー生意気ー』
『ところで天祥院さん』