第15章 学生編・初秋のGalaconcert
これがNoGenderのライブ前の緊張感………正直、いつも見てる僕ですらこの緊張感と雰囲気に飲まれそうになる。
「あらぁ?皆、衣装着ると雰囲気変わるわねぇ!素敵!」
『Ra*bitsの皆は見た目通り衣装も可愛いんだな』
「紅月はやっぱ和装なのか」
『Knightsは名前の通り騎士っぽい!』
「UNDEADの衣装めちゃめちゃロックじゃん…!僕好み!」
とこの緊張感を緩和する様に各々に声をかける。共演者への心遣い…小さいライブハウスだとしても経験値が違う。
「あ、宗!衣装手伝ってくれて有難ね〜」
"どう?似合う?"と身体をくねらせるのは池上先輩ならぬ空音。
「ノン!僕にそんな趣味は無い」
「あら失礼しちゃう~!ワタシは姫様一筋よ」
そのマネージャーである桜音は同行してないと言うのはどう言う事だ。まぁライブの時に姿が無いのはいつもの事だが。と言うよりちゃんと女性に興味があるなら何故こんなキャラクターを作ってるんだ、と言う質問は多分野暮。
※※※
時刻は開演15分前。昨日のリハの時は疲れてちゃんと周り見てなかったけど…こんな大きなステージや会場で演奏するのは初めて。
-そっ…-
『っ!?』
待機してる舞台袖の隙間からちょっとだけ会場の様子を見れば余りにも多過ぎる観客。う、わ…ヤバい。いつもの箱とは規模が違い過ぎて急に緊張してきた。指先が冷えてくる。
『藍音』
『!』
『藍音だけじゃなくて紫音と黄音も』
"空音は慣れてるだろうけど一応、空音も"と朱音が囁く様に声を発する。
『ブルったら俺を見ろ』
初めて五人でステージに立った時と同じ台詞。
『俺はてめぇ等の演奏、信じてっから』
『「「「~~~っアニキィィイ!!!」」」』
『うわ、全員で来んのやめ…』
-ばったーん-
※※※
一体何があったのやら。どんな成り行きかは知らないがNoGenderの皆が感極まったかの様に朱音くんに飛び付いて朱音くんが下敷きになる。だけどそこは男前の朱音くん。女人である藍音くんが下敷きにならない様にちゃんと右側に避けて抱き留める。
『ってぇなおい!髪崩れる!着崩れる!退けクソ野郎!』
と上に乗るメンバーを蹴り上げる。