第15章 学生編・初秋のGalaconcert
『藍音くんには朱音くんが居るじゃろう?』
『アカネは旦那!!!姫は…姫は嫁!!!』
「いや、それは無いわ~」
『何ですって!?』
「そうそう。同じ女性でもアイネが姫さんの旦那には無理があり過ぎる」
『煩ぁぁあい!!!姫のおっぱいはウチのものなの!!!』
-キーン…-
と無駄に響く可愛らしい声から出たとんでもない一言に周りが静まり返る。その様子にそれまで黙ってた朱音くんが手に持っていた缶コーヒーのスチール缶を握り潰す。
一同「!?」
『あ、わり。緊張のあまり力んじまった』
一同(そんな緊張、無いと思います…)
『それより、着替えるスペースを貸して貰えると有難いんですが』
「僕が案内するよ」
そう言う天祥院くんにNoGenderの皆はついて行く。
んー…引っ掛かりは気の所為だったか…上手い事、朱音くんに空気を持って行かれてしまった気もするが。
※※※
『藍音。さっきのは良くねぇ』
『御免…姫を名前呼びにするから嫉妬心が…』
確かに実菜未の言ってる事は分かる。流石に零が姫様を名前呼びしたのはワタシも吃驚した。あの子は聡明だからさっきので多分不信感を持たれたけど朱音様のお陰でこと無く得た感じかしら。
「いつの間にそんな間柄になったのよ」
『先週、少しだけ外国語教えてもらっただけ』
「「えっ…姫さんが!?」」
姫様、優秀だけど外国語苦手だから…と言っても平均の高校生よりは遥かに出来るレベルだけど学校が学校だからレベルは高い。零は海外飛び回ってたみたいだし、その辺は姫様よりも優れてはいそうだけど…まさか零と仲良くなるとはちょっと想定外。
『じゃあ着付終わったクソ野郎共は出て行け』
「「「えっ?」」」
『えっ、じゃねぇよ。藍音の着付をてめぇ等の前でするわきゃいかねぇだろ。出て行け。人が入らねぇ様に見張っとけ』
と保健室の外に閉め出された。
※※※
-カッ-
一同「!」
少し長かった着替えを終えて会場に戻って来たNoGenderには異様な威圧感と貫禄があり、あまり場馴れしてない一年生や二年生の中には萎縮する様に固唾を飲む者も居る。