第15章 学生編・初秋のGalaconcert
そして迎えた当時。
聞いてる予定では16時頃には体育祭が終わり、厳しい荷物などのチェックをするから17時に開場。そして18時からライブ。
私達NoGenderは体育祭が終わる16時頃には夢ノ咲学院に到着しなくてはならない。今回、私達の衣装は和装っぽくしてるから着崩れ等を考慮して現地で着替えさせてもらう手筈になっている。
-ぷるぷる-
『姫?指先震えてない?』
まずレントのメイクとヘアセットをして、その後にクオンのメイクとヘアセット。そして今はシオンのメイクをしているんだけども…いつも器用にちゃちゃっと皆の支度を終える姫が珍しく時間がかかってる。
『柄にも無く緊張してんのかな…』
「へー。姫さんでも緊張するんだ?」
『ちょっと黙って。ズレる』
どうせアンタはサングラスで目ぇ隠れてるけど、と慎重にアイラインを引く指先は僅かに震えていた。姫との付き合いは長いし部活の試合とかで大勢の前に立つ事には慣れてて緊張をしてるところは見た事が無いんだけど。
『よし、OK。みい、化粧水とか自分で塗って準備しといて』
『うん、分かった!』
この後、私は姫の様子がおかしかった事についてちゃんと見てなかった事を後悔する事になるなんて知りもしなかった。
※※※
少し早めに体育祭の閉会式を終え、皆で一丸となって会場の確認をしていたら昨日のリハーサル時よりも一際迫力のあるNoGenderが会場にやって来る。以前のライブの時と化粧も髪型も少し違う。
「今日は空音殿と紫音くんは一際女性らしい感じじゃのぅ」
「まぁ和楽器演奏する訳だしいつもの衣装じゃ違和感あるし?衣装に合わせてるから」
と池上先輩は手に持つ衣装をチラリと見せる。
成程…和楽器を演奏するにあたって和装を取り入れた訳か。通りで化粧や髪型が華やかな訳だ。しかしNoGenderのおめかし担当は確か…
「智桜姫ちゃんは模試と聞き及んでおるが、おめかしは自分達で?」
『んなっ!?この人ウチの姫を名前呼びっ!?』
「模試の前に朝一でセットしてもらったのよ~。お陰で朝が無駄に早くて」
おほほ、と笑いながら藍音くんの鼻先を摘む。
………何か引っ掛かる。