第3章 学生編・終夏のOverture
そんな様子にオカマはクスクスと笑うと折角涼しい部屋の窓を開けて外気を取り入れて深く深呼吸する。
『オファーって事は私達の素性を知ってるって事?或いは知られるって事?』
「彼が知ってるのはワタシの素性だけ。その心配は要らないわ。貴方達…特にあの子はこの活動がバレたらマズいからね…まぁその為の参謀があの子なんだけど」
バッチーン、と効果音が付きそうな気持ち悪いウインクを投げると携帯を耳に当てる。
「あ、もしもし~?今からスグ!!ウチに来てくれない?スグよスグ!」
電話相手の都合も聞かず要件だけ伝えて一方的に電話を切る。あーあ、オカマは後で絶対にボッコボコにされるな。
※※※
誰かに呼ばれる声で次第と意識が覚醒する。覚醒に微睡むぼんやりとした意識の中で思い出すのは、まるで天使…否、悪魔の翼を持つ少女。意識が覚醒するにつれてだんだんと少女の顔が霞かかり思い出すのですら困難になる。
「………夢魔(サキュバス)」
一同「え?さきゅばす?」
まだ気怠さ残る身体を起こせば額から落ちる濡れたシンプルなハンカチ。
「………」
「もー!こんなところで寝ないで下さいよ」
「買い物中にフラッと消えるの止めてよー心配したんだから」
「…これは?」
起き上がって周りを見渡せば人気の無い公園。ベンチの端に置かれた水と塩飴。ハンカチの濡れ具合と水が入ったペットボトルの水滴の付き具合からして、そんなに時間は経過してない。
「知らない。僕達が来た時には置いてあったよ」
「自分で買ったんじゃない?」
「…そうか」
「変なのー!」
「買出し終わったから学校に戻ろー!」
一体誰が…夢で見たあの夢魔(サキュバス)の采配だろうか。もう顔すらも思い出せないが。
※※※
「ああっ!いいっ!もっと…!もっと踏ん付けてぇ!」
ぐりぐりと頭を踏み付けられてるのに歓喜の声を上げるオカマに全員が白い目を向ける。そんなオカマを踏み付けるのは我等の参謀で私の大好きな親友、サディスティック女王。だけどそんじょそこらの男より(中身が)男前なかなりのイケメンである。
「姫さん、そこまでにしといて。このオカマ喜ぶだけだから」
『ちっ…こんなに急がせて何の用よ』