第14章 学生編・初秋のNoGender
ワタシが最年長だし舵取りしなきゃいけないとは思うんけども………こんな連中の相手をしてたら早々に老けてお墓入り、なぁんて事も考えられるし。掟さえ守れば自由にさせとくのが一番…って言ってもワタシが一番始めに堂々と掟破っちゃったけど。
「えー!うっそヤダヤダもう一回!」
「俺達バスケ部だよな?」
「現役バスケ部なのに負けちゃったよ、ちーちゃん先輩…」
と駄々をこねる紫音と床に両手両膝を付く二人。
「双子を選ぶとは実にお目が高い」
「目敏いからねぇウチの朱音様」
『んじゃちゃっちゃと通して終わろうぜ。動いたら疲れた』
「紫音に何させるつもりなの?」
『まだ教えねぇ』
「んもぅいけず!!!」
※※※
まだ同じ学生と言っても流石アイドル、プロ。
合わせの時の調節の後の通しでキッチリ完璧にアタシ達の演奏に合わせて来た。何度か他の人の生演奏とかした事あるけど、そんじょそこらの"モドキ"とは違う。
アタシ達は一般人だしプロどころかアマですら無い。だけど自分達の演奏のレベルが高いのは自負してる。多分今後も細々と活動するだけだけど、この経験はアタシ達にとっても有益なものだと思う。
『あー…もう無理、動けない』
「僕もー。歌ってばかりで楽器奏で続けるのがこんなにしんどい事、忘れてたわ」
「ワタシも尺八のせいでほっぺたが痛いわ…」
ダラける三人を見て黄音が面倒臭そうに舌打ちをする。
「おい、まだくたばんじゃねぇ」
『これから明日の本番のステージに楽器運ばなきゃなんねぇんだからシャキッとしろ』
「この二人ほんと体力馬鹿だよね。アカネさんはもう少、ひっ…!?」
『紫音。てめぇ今何言おうとした?』
「うっそ嘘!ジョーダン冗談!気ぃ引き締めまーす」
ったく…疲れ切ってるせいで気が緩んでる。早めに終わらせて明日に備えさせないとボロが出そう。
「あ、私達もお手伝いします!」
「「「僕達もー!」」」
と体育館のステージによじ登るのはプロデューサーの女の子、あんずちゃんだっけ。それと可愛い系男子達。
『いや、いいよ。楽器重てぇから』
「「「「手伝います!」」」」
『………』
らんらんと目を輝かせる可愛い子達の善意を無にするのは酷と言うもの。だったら。
-バッ-
「ぅおっ!?」