第14章 学生編・初秋のNoGender
黄音からドラムのスティックと和太鼓のバチを奪い取って自分のパーカーのポケットからお筝の爪を取り出して一本ずつ一個ずつ配る。
一同「………」
『これ、頼むわ』
「いや、あの…でも…」
『いいか?この道具はとても重要で繊細だ。丁寧に運んでくれよ』
一同(男前だなぁ…)
『えー!ちょっとアカネ!可愛い子にはすぐ優しくする!!!浮気駄目ぇ!!!』
なんて叫んで噛み付きそうになるから藍音の頭を撫でる。
『俺にとっては藍音が一番って知ってんだろ?』
『やん…ダーリン好きっ♡』
一同(カップル説…濃厚………)
※※※
「じゃ、皆お疲れ様!明日は宜しくね〜」
と車の窓を開けて手を振るとエンジンをかける。
結局、明日の本番のステージに楽器をセッティングをした後は最後に一度、通しを行いNoGenderの皆はグッタリしていた。少し休憩はあったものの七時間くらいはずっと楽器を演奏しっ放し。楽器を演奏するのはそれなりに体力が必要だと聞いているから疲れるのは当然。
『まぁ明日はバタバタして確認すら出来ねぇだろうし最後に通せて良かったんじゃね?』
『相当しんどくて笑うー』
「流石のレントも死にかけ笑うー」
「うっせ、笑い上戸になってる後輩見て笑えるー」
『「………」』
車の中で壊れた様に笑い出す三人に運転席に座る池上先輩と助手席に座る朱音くんは呆れた様に溜息を吐いて眉間を抑える。
「この子達煩いからもう行くわ。皆また明日ね!」
一同「お疲れ様でした!」
-ブロロロロロ…-
「さて。僕達も明日は朝から忙しいからね。皆も早く帰って休む様に」
NoGenderの車を見送った後に皆に声をかければ挨拶と共に散り散りになって行く。
「パッと見、怖そうな人達だけど面白い人達だったね」
「また一緒にバスケしてくれるかな?」
「あんなハイレベルな演奏…歳が近いとは思えないよ」
-がやがや-
「紅月だけ和楽器を組込むとは…一体どんな交渉をしたんじゃ?天祥院くんや」
「僕は何も。ただ生演奏を頼んで音源を渡しただけさ。そしたら紫音くんが提案してくれたらしい」
準備も大変だったみたいだし感謝しなくてはならない。
→To Be Continued.