第14章 学生編・初秋のNoGender
メンバーも予想をして無かったみたいで動揺が見える。たった一音のミスで皆が動揺する程…このベースの演奏は完璧だったと言う事。
『マジすまん。片目じゃ幅のあるお筝を演奏するには視界が悪いわ』
「いや、ある意味良かったよ。アカネさんがちゃんとした人間だと理解出来た」
『うるせぇ。俺はれっきとした人間だ』
『「「「いや、サイボーグだから」」」』
『てめぇ等、後で覚えとけよ』
『「「「スミマセンデシタ」」」』
『まぁいいや。紅月の曲んとこから、もう一回頼む』
そう言うと眼帯を外してお筝に向き直る………ってゆーか。
一同(目だけで分かる…ベースの人、凄く美人系だ…)
※※※
一度のミスはあったものの、それ以前それ以降は完璧に演奏仕切ったNoGenderには拍手喝采が送られる。
「くっそ…やっぱり腹立つくらいかっけぇ…!」
「凄いな…こんな人達に生演奏して貰えるのは心が踊る」
「正直、野郎ばっかでつまんないけど…こんなハイレベルな演奏が聞けるなら嫌々参加した甲斐もあったかな~」
我輩達、自由奔放なUNDEADのメンバーも賞賛を口にする。
「じゃあ今から皆には合わせて歌って踊ってもらうけど…今のうちに改善点があれば言って欲しいわ」
「一通り聞いてもらった通り一応、僕が聞いて、こうしたら良くなるってパートを少しアレンジ加えさせてもらってるんだけど、やりにくかったら言ってもらえれば」
と池上先輩とボーカルが声を張り上げる中、ベースとキーボードはこの蒸し暑さに参った様に扇子で衣類の中に風を送り込む。
「やっだ…朱音様と藍音、生きてる?」
『生きてる~…』
『ちょっと水分補給させて…』
この二人は他の三人に比べて格好が暑そう。髪の毛の生え際の感じ的に多分キーボードはウィッグ。鼻先まで前髪で隠れてるから余計に暑いだろうし、ベースはダボダボのパーカのフードを被って眼帯マスク。空調の無い体育館ではさぞかし蒸すだろう。
※※※
『あーもーマジで無理。もう一歩も動けない』
『この後、通しがあるから、それ通用しねぇよ』
『誰かキーボード変わってくれないかな?』
『何言ってんだよ。無理だから』
と風通りの良い場所で座り込むベースとキーボード。