第13章 学生編・初秋のBurlesque
『あ゙?藍音が車酔い?』
一同「!?」
いくら車移動で冷房が聞いてるとは言えど、みいの格好もそれなりに蒸すからなぁ…こればっかりは仕方無いか。
『じゃあ楽器のセッティングはこっちでやっとくから藍音の体調考慮しながら時間には間に合わせろ』
一同(それって無茶振りじゃ…)
※※※
正直このベースとドラムの二人が先に見えた時は、またライブの時みたいに取っ組み合いみたいな事になるんじゃないかと冷や冷やしていたけど………どうやら二人共、普段は温厚な人らしい。ベースに至っては風貌からイメージ出来ないくらいに言葉遣いは綺麗だし礼儀も正しい。メンバーに対しての口は悪い様だけど。
少しだけ雰囲気がマネージャーの桜音さんに似てる気がする。
近くで見れば身体も思った以上に小柄。
「おーい!アカネサーン!和楽器の配置はどうするよ」
『尺八と三線は舞台袖。和太鼓は…流石にライブ中に移動出来るもんじゃねぇからドラムをもう少し横にズラして、その隣』
「筝は?」
『お筝なぁ…お筝はどうすっかなぁ…』
うーん、とマスク越しに顎に手を当てて首を捻る。
「舞台袖じゃ都合が悪いのかい?」
『軽い物じゃないので正直時間ロスになりますね。メドレー式にするなら変な音無し時間は観客を白けさせる…かと言って舞台上に置いとくにも高さは無いけど幅があるから見栄えが悪いし俺達奏者だけじゃなくてパフォーマーである皆さんの邪魔になる可能性もある』
「じゃあ曲の変わり目の筝の設置、収納は俺達教師が引き受けよう」
『………』
と、佐賀美先生が申し出ると少し思案した後に"お願いします"と頭を下げる。こう言うのもやっぱり失礼かも知れないがちゃんと演者と観客の事を考えてるんだなと。
「因みにお筝はどなたが演奏なさるんですか?」
『俺です』
一同(イメージ無い………)
※※※
『うぅ…気持ち悪い…』
「ほら、もう少しだから頑張りなさい」
『ふえ~ん…アカネと一緒にトラック乗れば良かった…』
「いや、トラックの方が揺れて酔うから」
『違うよー…』
"アカネだったらお姫様抱っこして運んでくれるもん"とブー垂れる藍音の腕を紫音と引っ張ってステージまでの道を急がせる。
『ステージって屋内?』