第13章 学生編・初秋のBurlesque
『既にみいがデザイン完成してるって』
「あのヤンヘラもやる時はやるのよねぇ…帰ったらすぐ業者に手配させるわ」
まぁ…和装っぽくすれば体型も隠れるから無理にサラシ巻かなくても隠れるし長時間演奏するには楽な衣装ではあるし。
「姫さん明日からまたテストでしょ?」
『うん。水曜日まで』
「それまでには衣装完成させて、その後はリハまでに完璧に演奏を仕上げなくちゃね」
地獄の一週間が始まりそうな予感がする。
※※※
「リハが昼からに?夕方からじゃなかったの~?」
勘弁してよ、と言わんばかりに面倒臭そうに肩を竦める薫くんは"女の子とのデートの約束してたのに"と愚痴を零す。
「我輩も休みの日の真昼間から動くのは骨が折れる…じゃが仕方無かろう」
「え〜…行かなきゃ駄目なの?」
「無論じゃ。UNDEADだけメンバーが欠けてては示しが付かぬじゃろう。それに昼からになったのも理由がちゃんとある」
「理由?」
噂によれば天祥院くんがNoGenderに各ユニットの曲の生演奏を頼んだとかどうとか。直接は何も聞いてないしサプライズ的なものだろうが、もし本当に生演奏ならば時間が早まったのも納得が行く。いつも聞く音とは違って来るから、それなりに合わせる呼吸と調整が必要になって来る。
「天祥院くんも粋な計らいをしたものじゃ」
「あ~やだやだ。休みの日にほぼ一日中、野郎とリハなんて」
「野郎ばかりでは無いぞ」
「?」
「NoGenderのキーボードは女人じゃからな」
「でもそのキーボードって確か…」
"ベースとデキてるって噂じゃん?"とまたもや肩を竦める。確かにカップルっぽいけど…アレはなんと言うか………キャラ作り的な感じはした。
「まぁプロデューサーの嬢ちゃんもおる事じゃし…そこは協力してくれんかのぅ」
「分かったよ」
※※※
-ジジジジジジジ-
そして迎えたリハ当日。
私達は朝っぱらからオカマの家に集まり確認で通して、そして取り敢えずは一人一人メイクを姫にしてもらう。
「あっつ~…つーか蝉ウゼェ…」
『休むな脳筋。早く楽器トラックに運べ』
「わーってるよ。つかアカネサンまだ?お前等、軟弱過ぎて役に立たねぇ」